ギャレス・エヴァンス監督『ザ・レイド』

・神に誓ってガチです

ザ・レイド』観てまいりました。

麻薬王がならず者たちを住まわせて君臨する30階建てのビル。そこに20人のエリートSWAT隊員達が作戦のもと突入する。潜入には成功したものの、途中で発見されてしまいビルの中で麻薬王の手下達に囲まれてしまう。銃撃戦によって隊員達が次々と命を落としていく中、新人隊員のラマ(イコ・ウワイス)らの決死行が始まる…というお話。

かなり話題になっている本作品ですが、上映する映画館が全国で十数ちょい…これはスルーかなと思っていたらなんとシネプレックスつくばが上映劇場にあるではありませんか(泣)!シネプレックスつくばは『哀しき獣』や『ハンナ』など地味にミニシアター系の作品を引っ張ってきてくれるし、現在も『最強のふたり』を上映しつつ『希望の国』の公開も控えているというありがたい場所なのですね。この映画不振の中頑張っていただいてる姿勢には頭があがりません。

さてこの映画ですが…とにかくスゴイとしかいいようがない!最初に麻薬王による処刑シーンが流れるのですが、その演出がかなりショッキングなものだったので最初にグイっと引っ張られてしまいました。そしてその後の、SWATチームのビル突入→手下に発見され包囲される→苛烈な銃撃戦の流れの流暢さといったら。次のシーンへ移る際の手際良さが際立っていたため緊張感を持続することに成功していましたね。また、相手が応援を要請した隣のビルのスナイパーの存在も◎。外の見張りを排除(わめき声を出させて仲間を炙り出させるためにわざと半殺し!)した上で軍隊を孤立させ、下手に窓辺に出た隊員をすぐに瞬殺というコンボを決めるという条件が、軍隊が味わうことになる絶望感をさらに激烈なものにしています。

ラマの機転によりガス爆発を起こしてあらかたの敵を吹っ飛ばしてからは銃撃よりも肉弾戦がメインに。しかしまぁそれもスゴイ。なんてったって基本的に手が基本的に見えない(笑)そしてシラットという拳法をメインにした肉弾戦にて叩き込まれる殴打を観ていると、カンフル剤を打たれたかの如くこちらも興奮してしまいます…!意外とカメラワークがダサさギリギリのところで魅力的だったのも印象深かったですね。

そして特筆すべきは敵の最強幹部役のマッド・ドッグですよ!体格ではるかに優位に立っていた松尾スズキ似の隊長を、手数・勢いで完全にねじ伏せる圧倒的強さで殺害した時、「ああこいつはもうやばい人だ」という絶望感が。そして最後のラストバトルはマッドドッグの一番のシーンでしたね。というか首に蛍光灯刺さったまま何分間か戦っちゃう人間がいちゃダメだろ(笑)!でもこの人ならあり得るかも、という怪物性を十二分に感じることができたんだよなぁ。

アクションについてとやかく言えるほど知識があるわけではないですが、私の経験で言えば初めて『酔拳2』を観たときの興奮が甦ってくるものでした。最近の映画で言うと、突出したバイオレンス性では『チェイサー』、アクションの魅力としては『イップ・マン』シリーズに匹敵していると思いますので、どちらかのファンなら見てほしい!とにかく、「あー最近心臓わし掴みにされてないなー」という人にオススメ。意外と劇場では女子の姿も見ましたので、吊り橋効果狙いでのカップル鑑賞もいいかもしれません。結果に責任は持てませんが。


最後に。勢いで上記のキャッチコピーを書いたはいいものの、どうやらこの映画ではCGが使われているようですし、主演のイコ・ウワイスを始め各俳優にスタントダブルが配置されていたようです。でもそんなことはどうでもいいんだよ!最高だ!


アメリカ版の音楽はリンキン・パークのマイク・シノダ。イントロだけ聴くと結構音響系かな?と勘違いしがちですが、しっかりミクスチャーしてます。トレント・レズナーの感じと被っても困るのでこれはこれでいいんじゃないでしょうか。というか悪くない。