ROVO presents MDT FESTIVAL 2012 @日比谷野外音楽堂

日比谷野音で行われましたrovo主催のフェス、man drive trance festivalに今年も行ってまいりました。

なんでも今年で野音10周年とのことで。めでたいですね。当日はそれまでの雨の予報とは打って変わって晴天に恵まれてよい感じでした。普段のGWでの実施でも雨の確率が高いこのフェス、梅雨時真っ最中に開催して大丈夫かよと思いましたがなんということはなかったですね。誰か晴れ男でもいたんだろうか。

・Nabowa
今回のトップバッターはNabowaという…事前情報ゼロのバンドでした。最初にバイオリンの人が出てきたのであーこれは分かりやすいROVOフォロワーなのかなと思いきや結構異なる音楽性のグループでしたね。ワウの効いたギターを中心にしたひたすら地道なセッションが続けられていく。最後から二番目にやったリリカルなバイオリンの曲と、力強さを前面に押し出すドラムはなかなか好きでした。うん、いい1番手。

Goma&The Jungle Rhythm Section
最初に3人のパーカス&ドラム隊が現れてトライバルなビートを叩きだす。その後しばらくしてGOMAが出てきて、会場にセットされたディジェリドゥーではなく、鉄パイプに似たものを組み立てて低音を出した瞬間、「ああ神がここにいる…」と思ってしまった。頭にもジンジンくるけどそれよりも体を直撃する音。3人の生み出す複雑なリズムの海の中をディジェリドゥーの音がクジラの如く悠々と横切っていくイメージ。メロディー楽器が無くても皆を踊らせることって余裕でできるんだなぁと思うと嬉しくなった。あとタムをメインにしたビートを叩く椎野恭一はカッコよすぎだぞ!

ROVO
2バンド終わってもまだまだ日差しが強い中ROVO登場。今回は長い間ライブでVJを務めていた迫田さんがいなくなって初めての野音ということでどんなもんかと思いつつ鑑賞しました。
 結論から言うと、ROVOはまた新しいフェーズに入ったと言えるでしょう。使われていた照明がオレンジ1色で、それが複数の電球によって火の粉の如く散らばるイメージだったり鈍く点滅して熱のある感じを多用していたあたり、今のROVOの状態を端的に表していると思いました。"Flage"や2003年の日比谷野音音源を聴いてグループのイメージを頭の中で作っていた身としては,"ravo"や"nuou"でのバイオリンの美しい旋律主体で進行する曲調になった時も変わったとは感じたのですが、今回の変化はそれに勝るとも劣らないものです。
 "horses"で始まったライブは、それこそ近年のROVOには珍しい力技の連続で、勝井氏がリードする形をバンド形態ではなくなっていました。メロディという要素を抜き取ったうえで各パートがカオティックな場を作ることに集中しており、それまでROVOの音楽にとって結構重要だと思っていた飛翔感がほぼないという、これまでのパブリックイメージからすると驚くべきものです。
 去年あたりまでの音楽性だったら「まぁありかな…」位には思っていた自分ですが、このバンドの状態だと判断が難しい、というのが正直なところです。前のひどく壮大な音楽性が分かりやすすぎたせいもあるかもしれませんが、しかし今回のROVOはコアすぎた…それでも周りの観客はいい笑顔で踊っていたので、きっと自分が考えすぎなのでしょう。ラストの曲でバンド初期の曲"CISCO"は、むしろ正しいこのバンドの姿ってこうだったのかもと考えさせるほどに原始的野性に溢れたものでした。


 そういえば初めてMDTフェスに来た時もGOMA&The Jungle Rhythm Sectionが出演していて、あの時は低音に打ちのめされるわ隣のおにーさん腰振りまくりでドン引きだわ色々あったんだよなーと思うと感慨深いものがありました。ダメ浪人生からひきこもり大学生を経てダメ社会人になってしまい、その間ほぼ毎年参加しているこのフェス。自分の人生に多大な影響を与えたROVOの変化を観ることができるのも幸福なことですね。