人生で影響を受けた45曲

今更ですが、「人生で影響を受けた45曲」自分もやってみたいと思います。


1 ばらの花/くるり
本格的に音楽リスナーを始めるきっかけになった曲(ロキノン信者の始まりともいう)。当時西川貴教のオールナイトニッポンを聴いてて、そのハガキ戦士達のボンクラっぷりに、悩み多き中学生時代を過ごしていた「俺の居場所はここだー!」と嬉しくて気も狂わんばかりだった。毎日布団の中でバレないように必死に電波の入りの悪いラジカセを茨城の片田舎で聴いていたが、「そろそろAMも卒業かな」と更に電波の悪いJ−WAVEを聴いていたら流れてきた曲がこれだった。以降くるりのTR2を録音したりしつつ、ボンクラ音楽リスナーライフをエンジョイすることになるのである。

2 Rock'N'Roll Star/Oasis

3 Eevrything in it's right place

高校時代に初めてツタヤで借りて聴いた曲達。洋楽の聴き始めとなるとまさにこの辺、と言えば聞こえはいいけど実際はボンジョヴィとかエンヤとか聴いたのが最初で(汗)
4 The new year/Death cab for cutie
上記のくるりのラジオで「これいいですね」とコメントされつつかけられた曲。以降この文系ロックバンドとは長い付き合いをすることになるのだが、高校の頃の俺は悲しいかな深い失恋にもとづいたエモーショナルな歌詞の意味を理解することはせずに、快楽的なギターにただ身をゆだねていたのであった。

5 The Prize Fighter/Velvet Teen
俺の当時のロッキンオンでは冒頭でHMVの広告があって、そこでは本国でも注目されてないようなインディロックバンドを紹介する独特の雰囲気があって好きだったんだけど、その中でも特にプッシュされていてよく覚えているのがこのバンド。最近また聴くようになった。

6 Echo/Mo'some Tonebender
邦楽の中で一番好きなバンドの一番好きな曲。というか日本のオルタナロックの最高峰だといまだに信じて疑ってません。擦り切れてもう声すら出ない人間の感情の果て。極限状態を背景にした暴力的ノイズのうねりは、僕の10代のテーマソングでもあった。このバンドを知ったあたりからイヤホンの音量を最大にすることを覚えた。

7 Staralfur/Sigur ros
ちょうどヘッドホンを買った時によく聴いていた。既にナード気質をバリバリに涵養していた自分は、聴いているだけで自分がどんどん分解されてしまうような感覚すら感じていたな。

8 Green grass of tunnel/Mum
で、まぁ当時流行していたエレクトロニカにも手を染めることになって、最初にはまったのがムーム。このロリータボイスには当時にっちもさっちもいかない高校生活送っていた俺にとって福音だったなぁ…(遠い目)

9 Girl/boy songAphex twin
高校の夏休みに都会の予備校の夏期講習に参加することになった。でも勉強なんかやる気になれなくて目的といえばもっぱら都会のツタヤに行ってCDを借りたりすることしか頭になかった。リチャードDジェームスアルバムはその時に借りた一枚。後に昼休みの放送でかけて反響が大きかったのが嬉しかったなー。

10 Slow jam/Four tet
エレクトロニカで多分最も影響を受けたアーティスト。ポストロックの簡単には近寄りがたい音作りなんだけど確かに人の感情が存在している音楽で、同じような感情をもってスタジオにいるキエラン・ヘブデンの姿をリアルに感じて、へーこんなことできるんだなと思った。この曲はアルバム最後の曲で、ささやかな幸福感で孤独だった俺を支えてくれてた。

11 The audience/Herbert
もちろん田舎に住んでる自分にとってクラブなんか夢のまた夢のような場所であって、実際に行くのは大学4年の冬を待たなければならないのだけれど、「あーでも多分こんな感じなんだろうな」と想像しながら聴いていた曲。踊り疲れたオーディエンスに緩やかな光を与えて、人々はまた日常に帰っていく。その一瞬の切なさみたいなのをスタジオボイスやらリミックスやらの雑誌で得たクラブの知識をもとに頭の中で再構成しつつ想像していた。

12 Ex-cowboy/Mogwai
ポストロックといえばこの人達。最初聴いたときはこの音楽の出所がわからなくて、「何なんだこれは!?」とじわじわくる爆音に軽く怯えていた。しかしながらデイヴ・フリッドマンの緊張感あるリアルなドラムサウンドはとても興奮するもので、よくヘッドホンで爆音で聴いていたもの。

13 Inertiatic ESP/The Mars volta
改めて聴いてみるとやっぱりこの頃のマーズ・ヴォルタはかっこいい!雑誌でライブ評を読んでその壮絶っぷりに「どんだけ変態な音楽なんだろう…」と想像してたら単純にかっこいいバンドだった。その後変拍子プログレに耐性がついたのはこのバンドのおかげかな…

14 Tommy Gun Angel/Bardo pond
モグワイやアシッドマザーステンプルなどを追うようになって度々名前が出ていたので試しに聴いてみたらとんでもない音楽だった。常時垂れ流される爆音ノイズに気怠い女性ボーカル。「サイケデリア」なるものを一番強く感じる。音楽ってドレミだけじゃないなー、とともすれば吐き気すらもよおしかねない音像を前に思い知らされたのだった。よく人に貸したけど大概反応はイマイチなのもよく覚えている。

15 玉姫様戸川純
高校の頃に洋楽を聴くようになってじゃあもっと情報が欲しいなーと思い某巨大掲示板にいったら自分の好きなアーティストがボコボコにけなされていたりした…しかしその後ズブズブはまってしまいその辺を巡回していたら「A群」「B群」なる言葉が論争になっていて、俺は片方の群にあった頭脳警察やらあぶらだこやらを全く知らなくて焦りを感じたのだった。その後日本の昔のインディーズロックを聴くようになって一番衝撃的だったのが戸川純。この曲はとても怖かったです…

16 Epic Problem/Fugazi
ハードコアには優等生出身の奴が多いとはたまに聞く話ではあるけど、ひたすら禁欲的パンクをするストレートエッジなる存在は、それを通り越してもはや修行僧の域なわけで。しかしフガジかっこいいな!と意気揚々になっていた高校時代、簡単に影響を受けてアンチマクドナルドの姿勢何かを気取っていたのもいい思い出。

17 Rattims Friezz/高円寺百景
高3の頃には吉田達也周辺を漁るようになった。その中でも高円寺百景は一番好きなプロジェクトで、一度聴いて意外とポップな印象があったのでよく聴いていた。これも実際のライブ行くのは大学4年の時になるのだけどその時は感動したな。

18 帰り道/降神
ヒップホップに関しては中学時代不良達の間で流行っててあまりいい印象を持ってなかったんだけど、降神を聴いて「何だ俺のためのようなやつもあるじゃん」と思った。当時のシーンでは引き籠り系とか言われてたと思うけど、それだけでなくこの曲はエレクトロニカを通過した自分にとって、求めるものすべてが詰まった曲のようだった。これほど郷愁を駆り立てられる電子音はないし、彼らの声は違う次元へ自分を引き込んでくれるものだった。

19 Monkey goes heaven/Pixies
ギターサウンドに潜んだ暴力性の中にある狂おしくも切ない感情、というものを最初に教えられたバンド。ナンバガ好きだけどピクシーズ苦手とか言う人のことは未だによく分からない。イフガーッタセブン!イフガーッタセブン!イフガーッタセブン!

20 Candle/Sonic Youth
ソニックユースで一番好きなのはこれ。今にも消えそうな揺らぎとしてのパンクは美しく、かつ疾走感があって最高にかっこよかった。ソニックユースに関しては「Peace Attack」という曲も個人史的には外せないのだけどね…

21 Na-X/ROVO
人力トランスバンドと聞いてどんなだろと思ったら国内屈指のバカテクバンドが壮大なスペースジャムをやっておりましたとさ。トライバルなビート趣味への傾向はこのバンドからか?毎年ゴールデンウィークにはお世話になっております。

22 Teardrop/Massive Attack
名曲。確かに外国の曲なんだけど、聴いていると地方の田んぼの隣の林の中でカブトムシをとった記憶何かが甦ってくる。そしてそのイメージを大切にしたくて未だにPVを観ていない。ちなみに、浪人時代に行われたサマーソニックにマッシヴが来てて、「あのサウンドを真夏のエアコンの聴いたメッセで聴けるのか!」と思い興奮したけどさすがに受験生が行くことは叶いませんでしたとさ。

23 Slow Fade/Wheat
俺がデイヴ・フリッドマンというプロデューサーを完全に信用するようになった名盤。穏やかだけど切なくて自分の高校時代を思い出したりなんかする。静かながらも熱い心っていいよね!デスキャブの四枚目とともにUSインディといえばこれというイメージ。

24 Be twisted/Panicsmile
福岡バンドシーンもいいかもと思っていたらぶち当たった核弾頭。演奏してる方もきりきりしてるに違いない、人間の神経に食い込んでくるギターサウンドは、それこそストレスでヒステリーになりそうな時の自分の頭の中そのものだった。

25 星になれた/ゆらゆら帝国
切ない。このライブ盤の演奏は屈指の名演。ここまで感極まった感情を表すベースも珍しい。

26 Micael/Juana Molina
Juana Molinaたんマジ天使(四十代の)。

27 俺のせいで甲子園に行けなかった/面影ラッキーホール
NHKFMでやってたライブビートって番組のライブ音源を録音するのが趣味だったんだけど、その中で衝撃の出会いをしたのがこのバンド。音源が流されていた一時間近く笑いっぱなしだった。予備校時代友達に貸したら「地元の友達思い出すからやめてくれ」と言われたのもいい思い出。

28 Yesterday once more/Carpenters
ゆら帝の坂本さんが「僕はカーペンターズも聴くような変態なんで」とインタビューで言ってて、「あ、その辺アリなんだ」と思い聴いてみたら、普遍的なメロディに込められた怨念ともいうべき感情に囚われてしまった、という経験がある。というか何かストーカーみたいな曲多い…でも聴いちゃう、っていう感じだったかな。

29 Stand!/Sly and the family stone
あんまり昔のバンドって聴かない方なんだけど、スライは一回聴いたら好きになったな。スライのおかげでブラックミュージックと何だかんだ縁切らずに済んでると思う。

30 7月/Bloodthirsty Butchers
モーサムと同じくらい、友達にCD薦めても微妙な顔して返されるバンド。いやそりゃ歌下手だけどさ、これ以上思春期の青さを激しくも切ないサウンドで切り取った曲があるか。チャリに乗りながら高校通ってたころを思い出すわ。大人になんかわかってたまるものか!

31 Temptation/New Order
高3で現役受験に失敗して本当に絶望的な気分になって、「こういう時はJoy Divisionだな」と思い地元のツタヤに行ったんだけど置いてなかったので代わりにTrainspottingサウンドトラックを借りてJoy Division聴こうと思ったら、本家よりもこっちにはまってしまった。"Oh it's the last time" という歌詞を途方に暮れつつも福音の如く聴いていたという、思い出深い曲。予備校に申請する時の電車の中でも聴いていたなぁ。今でも聴くとヒリヒリしていたあの頃をちょっと思い出して胸がチクリとする。

32 荒野に進路を取れ/Eastern Youth
予備校に通学申請する時に、当時千葉に住んでた兄貴の内に泊まりに行ったんだけど、「ちょっと千葉の中心街見物に行ってくる」とウソついて千葉ルックに行った。イースタンユースのライブを見に行くために。「迫りくる闇の中にこそ 探していたものがあるはずだ」との吉野氏の絶叫は心に響いたし、この曲はその後一年に渡る苦しい浪人生活のテーマソングになった。イースタンのほかのアルバムも大好きだけど、「365歩のブルース」は自分の人生の中でちょっと別格。あそこで滑り止めじゃなく浪人を選んだからこそ今の自分がある。

34 Eureka/Jim O'rourke
一人も友達ができない予備校生活も中盤に差し掛かり、いよいよ精神的に追い詰められてきた頃、自習室の空きを待つために階段に座って行列に並んでいた。その時MDを聴いていたらこの曲が流れてきた瞬間はすごかった。この時の感覚を求めて聴き直したりするけど同じようにはいかないあたり、もうあの頃の俺には戻れないんだろうな。

33 Coast off/Helios
当時はエレクトロニカ/フォークトロニカもまだ流行の残り火みたいなものが残ってたんだけど、俺はこのアルバムを最後にその界隈の音楽を聴かなくなってしまった。茨城の田舎で名もないインディレーベルの音源を必死に視聴していた頃が懐かしいぜ!

35 Deeper into movies/Yo la tengo
受験のために一人でつくばのホテルに泊まった時、夜腹が減って買い出しに行ったら、つくばの西大通りがオレンジ色の電燈に照らされているのに魅了された。「こんな郊外をヨラテンゴでも聴きながらドライブできたら最高だろうな」と思ったことを覚えている。ちなみにその夢は、大学入って一年後に車を買ってもらった時に実現することになる。

36 Pot kettle black/Wilco
私立大学の受験が終わった後に、山手線の窓から入り込んでくる都会の風景を見つめながらこの曲を聴いていた。そのことだけは、今もはっきり覚えているなぁ。

37 A happy new year/松任谷由実
晴れて大学生となったはいいがやはりパッとしない人生。キャンパスライフを送っていれば自動的に彼女ができると思っていたあの冬、ラジカセから流れてきたこの曲が俺の空虚な心を遥かな世界に連れて行ってしまった。以来年初めはこれを聴くようにしている。一緒に聴いてくれる彼女は今もいないけどな!

38 Helpless/Neil Young
大学で入ったサークルでは何故かThe band好きの人が多く、こっちもラストワルツなんかをよく観るようになった。そん中でも一番好きなのはこの曲。後の就活ダメダメ期でもこの曲にはとてもお世話になる。

39 Jesus was a cross maker/Judee Sill
大学でもまぁ辛いこととか多くて、哲学のゼミでボコボコに言われたりした時はジュディシルのライブ盤を聴きつつ国道6号(通称6国)を軽自動車でグルグルドライブしたもの。

40 Moonshiner/Uncle tupelo
ウィルコ経由でカントリー系の音楽も聴くようになったけど、これは最大の収穫。このあたりから感性がおっさん化してくるのがわかる…

41 Cue/YMO
”Give me a cue…”という諦めに満ちた声は最高。隠れインダストリアルライクな音もすごくロック。

42 Poor boys long way homeJohn Fahey
ジムオルークを好きになって、気づいたらここまで来ちゃったよという。カントリーブルースの隠されたレジェンドとも言われてたけど、最近は若手の支持もあってそんなに隠れてない?当時まだ未発表だった、こういう音源に出会えるようつべって素晴らしい。でなければ俺みたいなペーペーがこのオジサンのファンになることなんてなかったわけだし。

43 Hurt/Johnney Cash
いやナインインチのバージョンも好きなんですよ?ただこの曲をここまでエモーショナルに自身の歴史も踏まえて歌われちゃあ敵わない。ここまで運命を背負ってきたキャッシュ侯には最大限の敬意を払わざるをえない。

44 Once in a lifetime/Talking heads
大学時代後半に聴いていたのがトーキングヘッズ。ファンクに影響を受けたリズミックなギターサウンドもかっこいいけど、カリスマ然としたデヴィッドバーンのインテリな立ち振る舞いにも憧れた。『Stop making sense』のサントラはここ2年のベスト。

45 Music for 18 Musicians/Steve Reich 
今のところのミュージックライフの到達点がライヒ。繰り返しながらも次第に変化していく音像は美しいし、静謐ながらダイナミズムにも満ちている。あるいは頭が老化してきているのか。もうこの際ボケ老人でもいいからライヒを聴きながら引き籠って余生を過ごしたい今日この頃です。


という感じです。改めて見直してみるとどうしてなかなかセンチメンタル過剰ですね。もう「自分にはこの曲がすべてだ!」というような曲にもしばらく出会えてないしもしかしたらそういう年齢ではないのかもしれませんが、しかしながら自分なりにもリスナーヒストリーってそこそこあったなと思います(笑)「なんでお前ら○○の良さがわからないんだよ!」と心に秘めていたせいで常にストレスを感じたりしたこともありましたが、音楽の巡り会いには恵まれた。それだけでも良かったかもしれませんね。あと、自分と同じように、ポストロックの流行に惑わされていた人は多いんじゃないかな。というかもっといて欲しい…!

正直言って、音楽欲みたいなものは浪人時代をピークにどんどん減少してきてて、社会人になってからは滅法音楽を聴く機会が減ってしまいました。ライブにも行かなくなったし。そしてそれでもいいんじゃないか、とさえ考え始めています。27歳で死ぬまで大人への反抗を主張したり、30代になってティーンエイジライオットを歌ったりするのはむしろ才能がなければできないことなのかもしれない、と当時の彼らの年齢に近づいてきている今思います。

[参考]
人生に影響を与えた45曲 - シン・くりごはんが嫌い
2012-01-12 - メモリの藻屑、記憶領域のゴミ
うーん、俺のオリジナリティはゼロよ!と叫びたくなってしまう…