Death cab for cutie『Codes and Keys』

まいどどーも。

みんな大好き、そして僕も大好きなロックバンド、デスキャブフォーキューティーの新作が出ましたね。

Codes & Keys

Codes & Keys

「今回はエレクトリックなサウンドを取り入れた」という前情報を聞いた時点でまぁ当然ともいいますか、「ああじゃあポスタルサービスみたいな、内気な感覚を全面に押し出したインディーエレポップになるのか。」と直感していた訳ですが、果たして実際に聴いてみるとポスタルサービスとも違うアルバムだなーという印象を受けます。

23にもなって何言ってんのキモいと言われるのを覚悟で言えば、デスキャブ及びボーカルのベン・ギバードの参加するポスタルの音楽のイメージって、秋冬に毛布にくるまって聴きたいんですよねー。内に籠るかのような感情を表すためにディストーションギターが使われているというか、とにかく決して外に出てアクティヴに行動するぜ!というやつのための音楽ではなかったはずです。感情的に苦しまなくて済む場を悩み多きティーンエイジャーに提供してきたからこそ、今の音楽シーンでデスキャブが一定の評価を受けてきたハズです。

で、身近なインディーシーンからメジャーに活動の場を移し、セレブな海外ドラマの劇中で名前が出てくるまでになった訳ですが、それでも前作まではその音楽性にブレはなかったと言えるでしょう。

で、それが「んーちょっと違ってきたかな」と感じたのが、去年出した映画『トワイライト・サーガ』のための新曲を聴いた時です。

曲自体はとても良くて、デスキャブチームの作曲能力の高さを示すものでした。ただ、「あれ、この人'let me give my love to you'とか歌う人だったっけ…?」という違和感が胸によぎったのも否定できませんでした。確かにラブソングばっかり歌ってるけど、そんなに積極的な人だったかと。

さてそれを踏まえての今回の新譜ですが、おそらくデスキャブを聴いてきた中で一番、それまでの過去作と乖離を感じるものとなりました。内気な感じというよりも、どこか今いる場所とは違った所へ誘うかのような音となっています。

これはどちらかというと、ポスタルサービスよりも後発のフォロワーとされるOwl Cityの音像に近いものです。

振り返ってみると、デスキャブ自身が打ち立てたインディーロック像は、その後のネットの興隆によりなかなか像を結び辛い状況にあります。メジャーデビューしてビッグになった以上多くのリスナーを対象にしなくてはなりませんしネットでいいことも悪いことも様々なことが筒抜け。良くも悪くも閉鎖的だったコミュニティはもはや存続し辛いものになってしまっています。

そんな中で最近はチルウェイブという「ここではない、どこかへ」の希求を感じさせる、儚さを持ったポップが流行しています。凝り固まったインディというより、飽くなき自由度の追求。そういった時代の流れを如実に反映したものと思われますが、デスキャブの新譜もそういった感覚を受ける作品になっています。夏の夜のドライブのお供にとてもオススメ。

まぁでもがっつり引きこもり文系ロックやっていい曲作ってほしいというのが本音なんですがね。

Live at the Mount Baker Theatre [DVD] [Import]

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ライブDVDも同時発売。ラストのTransatlanticismを聴くためだけに買っても損はないです。