クリス・サンダース、ディーン・デュボア監督『ヒックとドラゴン』
ヒックとドラゴン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- 発売日: 2010/12/17
- メディア: Blu-ray
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普段は気弱で、父親がリーダーをしているものの自分はなかなかバイキングの風習に馴染むことが出来ない主人公のヒックが、ひょんなことから自らが住む島の中では「害獣」として恐れられているドラゴンと出合い心を通わせていく…というのがあらすじ。
ストーリーは割と難しい所がなく、それこそ大人から子供まで楽しめるもの、ということが出来ると思います。少年の成長物語でもありますし、ボーイミーツガール要素もあり、皆で協力して強大な悪を倒す冒険活劇でもあります。個人的には何故異種間は分かりあうことが出来ないのか、というテーマに触れている点で映画版ナウシカを想起しました。
何といっても秀逸なのは中盤の空を飛ぶシーンですね。そうそう、空を飛ぶのって男のロマンなんだよなぁ…岩の間をビュンビュン飛ぶのもいいし、その後の限りなく美しい夕陽も最高!我を忘れて画の中に没頭してしまいました。これはぜひとも3Dで体感したかった!嗚呼去年の俺のバカ、トイストーリー3を3Dで観たってあんま意味なかったろうが!
あとやっぱり目を見張ったのはドラゴンの描写ですね。あのトゥースの独特の黒目の大きい感じといい、小さなドラゴンが主人公に体を摺り寄せてくる所といい、製作者側は確実に「猫」の動きを研究してるなこれは、と感じました。昔どこかで見たのですが、大きい黒目で見つめられると人間は「愛されている」という感覚を得るそうです。恐らく猫は故意かそれとも自然淘汰の結果かは分かりませんがそうすることで人間と共存してきたわけで、そしてそんな何千年も前から人間の愛玩動物として過ごしている動物が研究され映像にフィードバックされているという。私たちにとって凶暴性をも持つ未知なる生物を愛らしく描写するのはとてもすごいなーと思いました。
最後の、主人公に起こるある結果を巡って賛否両論あるそうですが、僕はあのシーンにあまり抵抗を感じなかったクチです。たとえあのようになっても主人公が今回の冒険で得た仲間や信頼は失ったものより大きく価値のあるものですし、最後のシーンの後も主人公は希望をもって今後を過ごしていくんだろうなと。そして何より主人公もあの犠牲を払うことでトゥースと平等な視点に立つことが出来た、と割とポジティヴなイメージを持ちました。ああなることが珍しくないバイキングのコミュニティの中で彼は幸せに暮らしていくんじゃないでしょうか。
とにかくなかなか非の打ちようがない王道の作品ですので、ほとんどの人が観れば楽しめる作品なんじゃないかと思います。パッケージだけ見て子供向け作品かな、と思って敬遠している人にこそ観て欲しい。何故なら自分もそうだったから。
空とくればやっぱエースコンバットだろ!Puddle of Muddはそこまで好きなアーティストではありませんが、この曲とエスコンとの相性については認めざるを得ないでしょう。パイロットになろうかな…(と日曜日の深夜に思う)