MO'SOME TONEBENDER『STRUGGLE』

STRUGGLE

STRUGGLE

いやね、このどん底の環境の中で何とかアルバム制作して、それでこの逆風の状況に対してファイティングポーズをとる、っていうのは全く持って納得できるし、自分が人生通して邦楽で一番聴いてきたバンドだから100%応援していきたい。いきたいんだけど通して聴いてみたら既視感が湧き起こってきてる訳でしてもうどう反応したらいいかわからないんですよ。発売から一か月以上たった今でも。

モーサムは高校時代から聴いてるし、始めてウォークマンのヴォリュームを最大にすることを教えてくれたバンドだし、浪人決まって予備校に申し込みに行くための電車の中で聴いたrainyは今も心に残ってるし、誰にも分かってもらえない寂しさを暴力的に表現したechoは今でも人生の一曲だと思ってるし、大学入ってから出た『C.O.W』はモーサム新しいとこに行ったなーと感じたし、それが受け入れなれなくて悔しかったとかインタビューで言ってた時は俺も同じぐらい悔しかった。それぐらいモーサムは俺の中で重要なバンドだったんですよ!

しかしこのアルバムを聴いても、テンションが上がらない…一番の要因は予想されていた、モーサムが得意なラディカルな構造を持った曲が中心にならず、『ロッキンルーラ』時代の勢いで押す様な曲が並んだことにあると思います。ドラムの藤田さんの凝りに凝った楽曲と百々さんの捻くれた、それでいて深い情感を込められた文学的歌詞というコンビを愛するものとしてはやはり物足りない部分が多いです。

発売前にいくつかインタビューがあったので観たのですが、そのなかで百々氏が「皆が心の中に溜まってしまったようなものをライブで発散してくれて、それでみんなが笑顔になれれば良い」というトレントレズナーみたいなことを語ってたんだけども、確かにその一面はモーサムの音楽にはあることは認められる。というか一時期まではホントにそんな感じだったと思う。

でもそこから何かしらの脱却を目指してたのがコロンビア期のモーサムだったんじゃないの?自分にまとわりつくどうしようもなさをどうしようもないと爆音に乗せて叫ぶことで何とか生きていたけど、それがさらなるどうしようもなさを生んでしまい、悪循環に陥っていたのを自ら是正しようとしてもがいてそん中で18とか名曲も生まれた。あの時期はそれなりに価値があるものだった。多くの人に理解してもらうことは叶わなかったけれども。

その点からこのアルバムをみるとやはりぬるいという評価しかできない自分がいる。hammmmerやyouthをライブで聴いたときは「次のアルバムはすごいことになるんじゃないか」と期待してたけどこうして全体を聴いても新しいモーサムが聴こえてくることは無かった。次のアルバムこそ、今までモーサム聴けとか言っても「そんなヘンな名前のバンドはちょっと」とか言ってたやつをを見返してくれるようなガツンとくるアルバム作ってくれると期待してたのに、これじゃ、神が予言してたような奇跡を起こしてくれなかったから信仰を捨てる信者のようだよ!実際そうだけれども!

暇があったので仙台で行われたツアー初日を覗いてみたけれども、やはり自分の求めるモーサムの姿が無いと感じた。重要な息の合いっぷりもいまいちだったし、なによりPAミスが多かった…本当に大丈夫なんだろうか?今の状態ではまたいつ解散とも言い出しかねないので心配ですよ本当に。

以上、明日のツアーファイナルを控えて、いいライブ見れるかどうか緊張している男の現状をディスクレビューにかこつけて語ってみました。