六日目

イスタンブール〜ボーイズドントクライ〜

バスのなかでイスタンブールで行きたいところをピックアップ。最古の食堂でランチを取ってトプカプ宮殿行って前からやってみたかった水タバコ吸って…もうすでに疲労困憊していたものの、ここにきていやがおうにもイスタンブールへの期待が高まってきた。

深夜バスから明け方にみえた風景

何故海が!?アジア側のハイダルパシャに着くから海は渡らないはずなのに…

午後九時頃、イスタンブールに到着。

ここどこー?と思い辺りをフラフラする。しかし目安になりそうなものはない。あ、メトロの駅がある!あそこの駅名がわかればなんとかなるはず!

…オトガル?いやバスターミナルの名前の駅なんてあったっけパラパラパラ(ガイドブックをめくる)…あった…だいぶヨーロッパ側…
まぁどうにかなるっしょ!ということでメトロに乗って安宿がいっぱいあるスルタンアメフットへ行って今日の宿を探す。最後の宿泊先なんで最後はバックパッカーっぽくドミトリーに泊まろうかな、なんてことを考えていた。

最初の宿を尋ねてみる。しかし「シングルはあるけどドミトリーは無い」との答え。まだ時間もあるしじっくり探してみるか…と他の宿を探す。迷った挙句二件目をようやく探し当て聞いてみるも断られる。三件目は忙そうで相手にしてもらえなかった。シングルでも結構安い最初の宿にするか、と諦めて向かう。また来てフロントに入ってみると、シングルの値段がガイドブックに載っている値段の倍!えーそりゃねーよーと言いたくもなったけど事前に調べてこなかった自分の責任だよな…と思い、もうこれ以上歩く気力もないということでここに決定。

荷物を預けた後、手持ちのトルコリラがなくなってきたので近くにある両替所になけなしの六千円を両替しに行くことに。店の前の電光掲示板には一円=0.015リラと出ているから100円で1.5リラ、六千円なら90リラ近くになる、と計算上はなるはずだった。実際に六千円を手渡して帰ってきたのは

20リラちょっと。

えぇーなんだよこれ!これじゃ観たかった歴史的建造物の入場料もろくに払えないよ!"Is it right!?"ととよく聞いてみてもうなずくばかり。でも手数料を考えても6000円が1300円ぐらいになって帰ってくるってどういうことだよ!金返せ!と言いたかったが既に六千円は相手の手元だしレシートも出て取引は成立してしまったと思ってしまったためどうしようもできず。ひどい。

なけなしの20リラを持ってアヤソフィアへ。アヤソフィアならガイドブックによればクレカも使える、とかいてあるのでどうにかなるかな、と思い入場料を支払うとき出してみるも反応はノー。結局20リラを払ってしまう。イスタンブールどうなってんだよ。


アヤソフィアビザンツ建築の最高傑作とされる建物で、キリスト教イスラム教の間の争いの歴史を記録する建築物。

上空にあるキリストの絵。

モザイク画。

その後ブルーモスクへ。入場料無料なのがいいね。

内部はこうなってます

ひたすら説法の言葉が流れる寺院内。異文化に来たんだなーと実感。

その後、何とか現金を得ようとして、ATMでキャッシングやろうとしてたら


カードが機械に吸い込まれた。


本気でどうしよう…と公園の噴水のところでボーっとする

一度宿に戻り休む。何だか今日はほんとについてない。イスタンブールは夢も希望も奪っていく悪魔のようなところのように感じた。

気を取り直して、何とか金なしでも楽しめるルートで観光する。
まずはガラタ橋へ。

絶景。しかし橋の上から釣りやってる人がいっぱいいた。ヨーロッパの人達もやること一緒だわ。
その後ガラタ塔を見てからイスティクラール通りへ

この通りはトルコで一番流行の地。確かに自分が田舎者のように感じてしまった。周りの店もなんだか高級そうだし。そして気になるのはCDショップからROVOみたいな音が聞こえてくること。もしかして元ネタこの辺の音楽なんだろうか!?

この通りをずっと行くとあるタクスィム広場

凄く洗練されている感じ。ヨーロッパ先進国にも引けを取らない。

戻って、イスラム寺院をいろいろ見て回る。

観るものなくなった後はガラダ橋のたもとでずーっとボーっとしていた。

あーあトプカプ宮殿にも地下宮殿にも行けなかったなー水タバコもやりたかったのに…ていうか金無くて飯何も食べてないよ…


名物のサバサンド。一度食べてみたかったけど食えない。腹減った…

その後戻る。ブルーモスク周辺がなんだか騒がしい。

実は旅行していた期間はちょうどあちらではラマザン(断食)の日々に当たる。日が出ている時は食べ物は食べられないが日が落ちてからは家族での食事を楽しむのが何よりの楽しみなのだそうだ。みんなでピクニックのようにシートを引いて食事している。楽しそうだ。

金も何もない自分はさびしく部屋に帰るのだった。

何か食べ物ないかな、と思いバックパックを漁ると

何とカップヌードルが!過去の俺ナイス!とばかりに小躍りして喜ぶ。早速食わんとフロントに行って聞いてみる。"Do you have hot water?"

"No!"

「こ、こんなに残酷なことがあるかっ!いっぱい食べ物があるというのに!!」


楳図かずお著『漂流教室』第六巻より

ええぇそんなことってあるのか!?と驚いているうちに、「シャワーの水があっついから、それで作ったら?」という、今考えたら何言ってんだよおまえ本気で行ってるのかそれ!という言葉を言われる。なすがままにシャワーの水を出してみると

お湯が出ない!

もう一度フロントに行って"Cold water only there!"と訴える。すると返ってきた返事は「ごめん給湯器壊れてる。シャワー使えるの明日だわ」というもの。そ、そんな…倍の値段払ってそれは無いよ…

部屋に戻って一人今日の散々だった一日を思いだしてみる。もう寝てしまおう、と思っても空腹と言いようのない怒りで眠れない。何でこんなになってしまったんだ…イスタンブールには期待してたはずなのに…いいよ…イスタンブールに期待した俺がバカだったんだよ…
ドミトリーから聞こえてくる日本人たちの楽しそうな声が一層淋しさを募らせる。何で俺がこんな目に…

「明日朝食で熱いお茶が出てきたらどうしてやろう」そんなことを眠りに落ちる前の俺は考えていた気がする。