五日目
聖ヨハネ教会
朝早く起きて朝食を食べた後、すぐチェックアウト。この日は昨日行き損ねた聖ヨハネ教会に行ってその後バスを乗り継いでミレトスの遺跡、時間があればディディムのアポロン神殿遺跡にも行く予定。何でミレトスにこだわるかって?それは哲学が始まった場所だから!哲学専攻の端くれ(ホントに端っこ)としてせっかくトルコ行くんだから行っとかなきゃな、というどーでもいい義務感に駆られた結果である。まぁまずは歩いていける聖ヨハネ教会へ。
聖ヨハネ教会はキリスト12使徒のひとりヨハネが聖母マリアとともに晩年を過ごしたとされる場所。
建築がモロに遺跡然としてますね。ちなみにこの教会跡のすぐ隣には歴史的にも重大な価値を持つイスラム寺院であるイーサーベイ・ジャーミィがあります。というか聖ヨハネ教会もイスラム寺院として使われていた記録もあるそう。どうなってんだこの国。
ヨハネの墓
洗礼所らしきところで儀式の真似をする(!?)欧米の観光客。みんなやってたけどいいのかな。
光の加減で見れませんが、フレスコ画のようです。
ミレトス〜ワイルド・サイドを歩け〜
次はミレトスに向かう。ミレトスに向かうにはセルチュク→クシャダス→ソケとバスを乗りついで行った後ミレトスへのバスに乗らなければならない。めんどくさいので便利なツアーがあるよ、とガイドブックには書いてあったが昨日バス会社に聞いて見てもそんなものはなく「ヘイフレンド、しっかりしろよ」と言われてしまう始末。結局ソケまで自力で行けば何とかなるだろ、と思いバスの旅へ。
セルチュクからクシャダスに行くバスの最中、エーゲ海が見える。
エーゲ海テラ青ス
そして次の乗り換えも済み難なくソケまで着く。ここでミレトスと書いてあるバス停で待っていたがいつまでたってもバスが来ず、痺れを切らして隣りのベンチに座っていたおじいさんに聞いてみると、とたんにおじさん周りの人を巻き込んで大会議が始まってしまう。しばらくして代表として若い人が"There is no direct bus for miletos."という。うん。ガイドブックに「土日運休」て書いてあったけどもしかしたら何とかなるかなと思ってきたんだ。でもならなかったね。
そして続けて言うには、別の観光地行きのバスに乗ってアキョイという町にまで行ってそこから歩いていくことは可能、らしい。"Hpw long?"と聞くと5キロぐらい、という。真夏の炎天下のなかでバックパックしょって五キロはきついな。ていうか5キロってどんぐらいだ!?筑波大からJAXAぐらいか?だったら歩いてみるか。第一ここまで何とか予定どうりに来ているから何とかなる、いや何とかできるんじゃないかというよくわからない自信が湧いてきた。「オーケー、アイルトライイット。」
お世話になった人にお礼を言ってガイドブックにも載ってないアキョイという町へ。30分ほどバスに乗った頃「ここで降りろ」と言われる。いかにものんびりした、下手したら日本人ここ来たことなんじゃないか、というぐらいの村。
この写真は帰り道を記録しておこうとして必死に撮っておいたもの。ここから標識に従って歩く。
そして200m位歩いたとき、小さなバスが通りかかったと思ったら目の前で停車する。寄っていって運転手に「ミレトス?」と聞くとうなづいたので天の恵みじゃとばかりに乗り込む。まどから自分が歩くはずだった道を見ていると、大分長い。「俺ここ歩こうとしてたのか…」と絶句してしまった。
そしてミレトス遺跡に着く
周りにいるのは外人と思しき人が十人いるかいないか。しかしみんな熱心に写真撮っている。皆哲学をかじった人たちなんだろうか、と思うと不思議な感じがした。
円形劇場。古代の人ってホント劇が好きね。
ミレトスの大地。ここのどこかでタレスとか自然哲学者が生活していたのだろうか、と思うとわくわくしますね。おれ専攻現代だけど。
「行きはまぁラッキーでバスに乗っちゃったけど、帰りはちゃんと歩いて帰らないとロックじゃないぜ!」と着いた時は思ってましたが何せ遺跡が広すぎて。見学だけで体力消耗しすぎてもうそれどころじゃなくなって結局バスをタクシー代わりに使いました。まぁ自分の弱さをさらけ出すのもロックっちゃあロックだよね。
アポロン神殿
ミレトスから再びアキョイに戻った時点で時間にはちょっと余裕があったためアポロン神殿に向かうことに。バスで「ディディム」っていって通じたと思ってたらどう見ても遺跡っぽくない所でおろされる。そして人の流れに任せて歩いてみると
トンネルの向こうは、不思議の町でした。
じゃなかった。でも気分的にはそんな感じ。この辺はリゾートとしても有名みたいです。とりあえずアポロン神殿への看板が出ているのでそれを頼りに行くことに。
リーヴィング・セルチュク(トゥ・イスタンブール)
そしてしばらくバスを待って、来た道を戻る。
夕陽に照らされたエーゲ海綺麗だなぁ。青春の1ページのようだ。
このとき親からメールが。「今サスペンス劇場観終わって寝るとこ」時差ってすごいな。
ソケにてケバブの屋台の子供と口論。代金払ったの払ってないだので。
セルチュクに着いたのは六時頃。ここでもネヴシェヒルで見た徴兵の前の祭りが行われていた。みんな楽しそうに踊っている。いつか来るモラトリアムの終わり。その直前のいつかは終わりが来る、でもいつまでも終わらないようなひととき。俺はそんな体験を最近はしているだろうか。なかなか沈まない夕陽の下で踊る彼らが悲しくもあり、うらやましくも感じた。
イスタンブールへのチケットは自称「日本人に人気のおじさん」というセルチュクのバスターミナル内にあるバス会社のおっちゃんに任せてバスの発車まで時間があるのでうろうろすることに。明らかに迷っている外人を見ては「素人だな…フフッ」とこころのなかで慣れた気になって余裕を見せる。トルコまだ一週間もいないのに。
ガイドブックを持ちながらふらふら歩いていると「すみませーん」と日本人女性二人に声をかけられる。「その『地球の歩き方』見せてもらえません?ご飯食べるとこ調べたくて」といって俺のガイドブックを見ている。
そこにトルコ人の男がいきなり話しかけてきた。「ここも日本人じゃなくて俺の嫌いなやつらばっかり来るようになった…なんでだ?」
と絡んでくる。ブロークンイングリッシュで答えているうちに女の子たちが帰る。そのあと男が不満そうにこちらをみて
"Don't you like Japanese ladies?"という。ははーんナンパだったんだなーと把握し、
"I like lady all over the world."と答えてやった。どうだ!と見返していたら男はわかったようなわからないような顔をして帰って行った。
そんなこんなでバスの時間。おとといのバスがよかったためすっかりトルコの深夜バス好きになり期待していたが、今回は後ろの女二人組が言葉はわからないものの明らかにガールズトークと思しきノリでしゃべり倒していたためいまいち。隣のイラン人の人も閉口してたぜ。
そんなこんなで旅は最初に降り立った地、イスタンブールへ。