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野球の練習を終えた後少し寝て実家に帰る。少しの仮眠が少々寝過ぎたようで着いたのが夕方六時。前もって言った時間通りに来い、と親に怒られる。

「今日から銚子駅前でライトアップが始まったんだわ」夜外食をしに行った自分の車の中で親父は言った。多すぎるほどの電球で駅前の噴水周りの立地が飾られているのは華やかに見えなくもない。ただその駅前のオレンジ色に照らされた商店街の店の多くのシャッターは閉まっている。電球に彩られた場所だけが冬の寒々しい雰囲気の中静かに光を灯していて、まるで見捨てられた楽園のようだ、と思った。これは、受験の時にこれで銚子のイルミネーションを見るのも最後だろうなと思って駅に来た時にも感じたことだ。

車を運転しながら就活や公務員試験の話をした。多分地元には戻らん、そんなことを言うと親父は悲しそうな顔をした。「せっかく生まれ育った街なんだからやっぱり…」しかしその後会話は途絶えた。俺にはその「やっぱり」が無い。そのことを親父も感じ取ったんだと思う。俺はただ運転するしかなかった。

市民病院が潰れたりして銚子を取り巻く環境はすごく厳しい。今年で市の職員を退職した親いわく、もう市自体が死にかかっているんだ、という。銚子銀座も立派なシャッター街となってしまったし、子供の頃屋上のカートで遊んだり兄貴がストⅡやってるのをひたすら横からみていたゲーセンがあったデパートももうない。利根川の向こうの街にひたすら思いを馳せていた波崎市民としては淋しいものがある。でも俺はもう地元に執着するモチベーションを失ってしまったような気がする。帰省するたびあぁ俺ここの出身だわ、と痛感するけれども。

今住んでいるつくば市は発展している街だ。新しいショッピングセンターも造られてたし土地開発もどんどん進んでいる。成長している、という安心感はただ住んでいるだけでも何となく感じるものがある。

成長していく都市と、没落していく都市。その二つを横目に、今俺は将来の進路を決めようとしている。不安で一杯だ。